下肢静脈瘤の原因となる静脈解剖図深部静脈血栓症について

深部静脈というより深いところにある静脈に血栓ができると、深部静脈血栓症という病気になります。

この病気は、足が急に腫れて痛みが出る症状で見つかることが多いのですが、血栓の場所によっては無症状の場合もあります。血栓のある場所によっては、命にかかわる可能性がある病気です。

静脈血栓はふくらはぎの静脈に最初はできることが多いようですが、膝裏の深部静脈に血栓ができたり、太ももの付け根に血栓ができることもあります。この場合は肺などへ飛んでいく可能性が高くなってくるので、急に足が腫れて赤くなったりする場合は緊急的に検査や治療が必要となります。

深部静脈血栓症の検査

深部静脈血栓症が疑われた場合、まず足のエコー検査を行います。エコーでは、まず太ももの付け根の深部静脈や膝裏の深部静脈、下腿の深部静脈の枝などに血栓がないかどうかみます。足が腫れていることが多いので、肥満などがあると必ずしも簡単に血栓を見ることができません。

また造影CTやMRI検査、静脈造影などの侵襲的な検査も血栓の場所を特定するために行うことがあります。

深部静脈が疑われた場合、D-ダイマーやSFMCなどといった血液検査を行うと血栓があるがどうかのスクリーニングができます。D-ダイマーは急性期の血栓で上昇するので、血栓が新しいものかどうかの鑑別に役に立ちます。

ただ、高齢者や他の疾患でも上昇する場合がありますので注意が必要です。D-ダイマーの値が低いと血栓の可能性が低くなります。

深部静脈血栓と間違いやすい病気

深部静脈血栓症によく似た症状の病気に、ベーカー(膝窩)嚢腫の破裂があります。これは膝の裏にある関節の袋が破れて、下腿の筋肉の間に広がって足の腫れや痛みがでるため、外から見ると深部静脈血栓症と非常に似た感じになります。

整形外科の病気ですが、たまに整形外科の先生方でも血栓症と間違えてしまうほど症状は似ています。この病気はエコー検査やMRIなどで深部静脈血栓症と簡単に鑑別できます。

深部静脈血栓症の治療

深部静脈血栓症の治療には、急性期の場合 ヘパリンの静注、ワーファリンの内服、最近では新しい抗凝固薬であるNOAC(リクシアナ、イグザレルト、エリキュースが現在保険適応)が用いられています。

血栓のある場所や程度によっては、下大静脈フィルターや血栓溶解術なども必要となります。

慢性の場合でも、静脈血栓の再発予防のためワーファリンやNOACの内服治療が行われます。

弾力包帯や弾性ストッキングによる圧迫療法も必要な治療法です。

そのほか水分補給や下肢の体操なども有効な方法です。

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