下肢静脈瘤に関するよくある質問をまとめてみました。
1 静脈瘤について
Q1 大きな静脈瘤がありますが、全く症状がありません。治療しなければいけませんか?
A1 下肢静脈瘤は悪性の病気ではありませんので、足が重い、色素沈着などの症状がなく、静脈瘤の見た目が気にならなければ特に治療しなくてもかまいません。 静脈瘤が大きくても全く症状のない方も多くいらっしゃいます。特に男性の方に多いようです。こういった場合には、治療をしなくて経過をみるだけでも良いと思います。見た目が気になるようでしたら治療を受けられることをお勧めします。
Q2 赤い小さな静脈瘤があってときどき痛みます。どうすればよいでしょうか?
A2 くもの巣状静脈瘤が考えられます。これが下腿にたくさんある場合、静脈逆流を合併していることがありますので、詳しい検査を受けられることをお勧めします。
Q3 足にはコブがないようですが、足がむくみやすく、ときどき痛みます。これも静脈瘤でしょうか?
A3 長時間立っていると足がむくむというのは静脈瘤の症状のひとつです。これは静脈が逆流して足に血液がたまり、血管外へ水分が出て行くために起こります。空気容積脈波やエコーで簡単に診断できますので、早目に診断を受けることをお勧めします。
Q4 静脈瘤がありますが、海外旅行に行くのに、長時間飛行機に乗ることでエコノミークラス症候群になりませんか?
A4 静脈瘤があるかたはいわゆるエコノミークラス症候群の症状がでやすくなります。これはどうしてかというと足の血流が遅く淀んだ血液がたまりやすく、その結果血液が固まりやすくなるからです。
Q5どのような場合に下肢静脈瘤の治療を受けたらよいでしょうか。
A5 一般的に次のような症状があるかたは治療を受けた方がよいでしょう。
1 足が重い、疲れやすい、むくみがある、足がつりやすいなどの症状に悩まれている方は治療を受けた方がよいと思います。治療を受けて快適な生活を送りましょう。
2 かゆみ 色素沈着 潰瘍など皮膚合併症のある方は早急に治療を受ける必要があります。静脈瘤が原因と思われずに治療を受けていることもあります。専門医に相談することをお勧めします。
3 血栓性静脈炎を繰り返す方は肺塞栓の原因となることもありますので、治療を受ける必要があります。
4 静脈瘤自体が気になる方は治療を受けて快適な生活を送りましょう。いつも静脈瘤を気にしてスカートをはけないといったことがなくなり、これまで気になって入れなかったプールや温泉にも気にせず安心して入ることができます。
2 診断法
Q 1 静脈瘤の診断はどのようなものがありますか?
A 1 静脈瘤の診断はまず視診といってみることである程度診断できます。ただしみることだけでは重症度などは全くわかりません。そのため静脈の機能評価ということが重要になってきます。これには空気容積脈波とエコーという無侵襲検査が極めて有効です。これだけで90%以上のかたで診断可能です。これの他に以前はよく行われていた検査に静脈静脈造影というものがあります。これは痛みを伴いますし、造影剤を使うためにアレルギーの危険性もあります。普通の静脈瘤の検査には必要ないものでしょう。
ところでこの無侵襲検査はどこでも受けられるわけではありません。静脈瘤を専門に扱っている病院でしか行っていません。逆に言えばこの検査をきちんと行ってくれる病院はかなり静脈瘤の専門的施設の可能性が高くなります。静脈瘤をみただけできちんと検査をせずに治療を勧めている病院があるようですが、検査をせずには正確な治療ができません。注意してください。
3 治療法
Q1 弾性ストッキングを着用すると下肢静脈瘤がよくなりますか。
A1 静脈瘤の方が弾性ストッキングをはくと足が軽くなった、疲れにくくなった、むくみがとれたといわれるかたが多く見られます。実際にAPGという機械で静脈機能を測定してみると、ストッキングをはいた場合に逆流が少なくなっている方がいます。残念ながら静脈瘤そのものを直す方法ではありませんので、静脈瘤が消えてなくなる訳ではありません。
こうち静脈ケアクリニック https://www.venonet.jp