以前にもベーカー嚢腫のことは書きましたが、比較的良く遭遇し、静脈瘤や血栓症と間違いやすいことがあります。
先日日本を旅行中のアメリカ人(Tさん)が突然足が痛くなり腫れてきたため、近くの公立の救急病院を受診されたところ、静脈の血栓症(恐らく深部静脈血栓症ではないかと思います)と診断され緊急入院を勧められましたが、英語でうまくコミュニケーションが取れなかったこともあり私のところに診察に来られました。
足の外見は腫れて赤くなっており、血栓性静脈炎を疑わせるものでした。早速エコーをしてみたのですが、ヒフク筋という下腿の筋膜の下に明らかなたまりがあり血栓とは違う状態でした。
MRIでも深部の静脈には異常なくベーカー嚢腫が破裂したものと診断しました。Tさんは血栓と違うことが分かり痛みも治まってきていたので特に入院治療の必要のないことを説明すると安心されアメリカへ帰ることになりました。
静脈の血栓とベーカー嚢腫の破裂はかなり紛らわしいのでエコーやMRIの診断が重要です。
ベノネット血管クリニック http://www.venonet.jp