こんにちは。
下肢静脈瘤の診療に携わっている血管外科医です。
先日、アメリカのトランプ大統領が健康診断の結果を公表し、「慢性静脈不全(Chronic Venous Insufficiency)」という病名が記載されていたことが話題になりました。
あまり聞きなれない病名ですが、実は私たちの診療現場ではとてもよく見かける、ありふれた病態です。
では、この「慢性静脈不全」とは一体何なのでしょうか?
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◆ 慢性静脈不全とは?
血液は心臓から足へと動脈を通って運ばれ、使い終わった血液は静脈を通って心臓に戻っていきます。
この「戻る」流れを助けているのが、静脈の中にある小さな“逆流防止弁”です。
しかし、さまざまな理由でこの弁が壊れたり、働かなくなってしまうと、血液が足の静脈内にたまりやすくなります。
この「血液がうまく戻らない」状態が続くことで、足のむくみ、だるさ、皮膚の色素沈着、湿疹、そしてひどくなると皮膚潰瘍(きず)などを引き起こすのが、「慢性静脈不全」です。
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◆ 実は「静脈瘤」とは兄弟のような関係
「下肢静脈瘤」というと、ボコボコとした血管のコブをイメージする方が多いと思います。
でも、静脈瘤の“本体”はこの「慢性静脈不全」にあります。
つまり、慢性静脈不全は“静脈瘤の土台”。
静脈の弁が壊れ血液がたまるという基本的な病態はどちらも同じで、見た目にコブが目立つかどうかの違いにすぎません。
言い換えると、コブのない「隠れ静脈瘤」=慢性静脈不全と考えてもよいのです。
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◆ 実はこんなに多い!慢性静脈不全
実際、慢性静脈不全の症状は中高年の方を中心に多く見られます。
• 夕方になると足が重くてだるい
• 足がむくみやすい
• 夜中に足がつる
• 足首の皮膚が黒ずんできた
• 足に湿疹やかゆみが出る
これらの症状がある方は、実は慢性静脈不全が隠れている可能性があります。
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◆ 放っておいていいの?
「年齢のせいかな」「立ち仕事だから仕方ない」と思って放置してしまう方が多いですが、慢性静脈不全は進行性の病気です。
コブのある静脈瘤が目立ってくる前に、あるいは皮膚症状が悪化する前に、専門医による検査と適切な治療を受けることで、症状の改善が見込めます。
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◆ まとめ
トランプ大統領が発表した「慢性静脈不全」は、特別な病気ではなく、多くの人が気づかないうちに抱えている可能性のある静脈の病気です。
足の不快な症状に心当たりがある方は、「ただの疲れ」や「加齢のせい」と決めつけず、ぜひ一度、血管外科や下肢静脈瘤専門クリニックでご相談ください。
健康は足元から。
毎日の「足のだるさ」や「むくみ」が、病気のサインかもしれません。
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