下肢静脈瘤はどんな病気か、原因とタイプ別の治療法について解説します。
                下肢静脈瘤とはどんな病気?

  下肢静脈瘤とは足の静脈が太くなってコブ状に浮き出て見えるようになった状態をいいます。

  大きさや走行はさまざまで、大きく分けると伏在型 側枝型 網目状 クモの巣状

  4つのタイプに分類されます。   

  通常は一つのタイプだけではなく、いくつかのタイプが混在しています。

  写真を見てご自分の足の状態がどれにあたるのか参考にしてください。

タイプ 写真 特徴 治療法
伏在型
最も大きな静脈瘤であり、治療を希望されて来院される患者さんの多くがこのタイプです。

大腿部の内側下腿に大きな血管のコブが認められます。

大伏在静脈や小伏在静脈に逆流が見られることが多く、どの静脈が原因で静脈瘤が発生しているのか、まず検査を受けてみることが大切です。コブの大きさと症状は必ずしも関係がありません。

静脈瘤の原因となっている静脈の逆流を止める処置を受けると静脈瘤が縮小消失します。

静脈瘤をきれいに治すためには、逆流の処置を行った後硬化療法を行います。

レーザー治療

ストリッピング手術

高位結紮&硬化療法

側枝型 伏在静脈の枝が拡張したもので伏在静脈の逆流に関係なく孤立してみられることがあります。

大腿前面にあるものは、外側副在静脈、大腿後面にあるものには、Giacomini静脈という名前がついています。

レーザー治療または硬化療法にて治療できます。

レーザー治療

硬化療法

網目状 2-3mmの静脈の拡張で青色の網目状のものが多くみられます。皮膚の直下に見られるタイプです。硬化療法が有効なことが多くきれいに治すことが可能です。レーザー治療は一般的に有効ではありません。 硬化療法

クモの巣状 1mm以下の細いものですが、紫紅色でクモの巣のように目立つため美容目的で治療を希望される場合が多いものです。稀に痛みを伴うことがあります。

特殊な硬化療法または表在レーザーで治療可能です。

場所によっては、静脈逆流を伴う場合があり、その場合は静脈逆流を止める治療を行う(レーザー治療など)を一緒に行います。

表在レーザー治療

硬化療法

うっ滞性皮膚炎 静脈瘤が進行すると皮膚の色素沈着と硬化が進み静脈瘤が目立たなくなります。

膝から下の下腿内側に色素沈着がおきています。一見すると静脈瘤がないので関係ないように思いますが、静脈逆流が原因で皮膚炎が起きています。

静脈逆流を治療すると色素沈着は軽快していきますが、長い時間がかかることがあります。

レーザー治療

ストリッピング手術

SEPS

エコーガイド下硬化療法

                     静脈瘤の原因と症状
足の静脈の解剖図

アルケア 下肢静脈瘤 原因と治療より

(平井正文先生のご好意による)


 足の静脈には大きく分けて足の表面に近い表在静脈(大伏在静脈と小伏在静脈の2本)と足の奥深くにある深部静脈、表在静脈と深部静脈の間を結ぶ交通枝というものがあります。

静脈血の90%は深部静脈を流れていきます。表在静脈を流れるものは10−15%といわれています。

 静脈瘤の原因には表在静脈(大伏在静脈、小伏在静脈) 交通枝 深部静脈の異常のそれぞれがあります。このなかで静脈瘤の治療対象となる頻度が高いのは、表在静脈 交通枝の異常です。

 静脈瘤は皮膚の表面にあるため目立ちますが、静脈瘤そのものが病気の原因ではなく、静脈逆流のある伏在静脈や交通枝が悪いために結果的に静脈瘤となっているのです。

 そのため治療する場合は静脈逆流を起こしている静脈を見つけて、その逆流を確実に止めることが重要です。

逆流を止めることで、静脈瘤に入っていく血流が減り静脈瘤が縮小していきます。

逆流を残したままで静脈瘤そのものをとったり、硬化療法するだけでは不十分な場合が多く、静脈瘤の術後早期の再発につながります。

静脈瘤を長期間にわたって放置していた場合は、いろいろなところから血流がある場合は、逆流を止める処置のほかに硬化療法や瘤切除が必要となります。

また静脈瘤の治療の際に、

表在静脈の流れを止めてそれまで流れていた血液はどこへ流れますか?

表在静脈の流れを止めてしまって大丈夫でしょうか?

という質問をよく受けますが、表在を流れていく血液の量は全体の10%程度であり、表在の静脈を流れていく血液は奥の静脈を流れるようになるので大丈夫です。

静脈瘤のかたは、足で静脈血が循環しているため、足の静脈に大きな負担をかけています。表在の静脈の逆流をとめることで足の静脈の働きがよくなるのです。

下腿の筋ポンプ作用

動脈は心臓から押し出される力によって体のすみずみまで流れてきますが、それでは静脈はどのようにして流れるのでしょう?

 静脈には動脈のような強く押し出す力は心臓からはかかりません。その代わりに静脈血は呼吸の力と足の筋肉の収縮によって心臓のほうへ少しずつ流れていきます。

ふくらはぎの筋肉は第二の心臓と呼ばれており、筋肉の収縮すると筋肉内の静脈血を上方(心臓へ向かって)へ押し出していきます。

このふくらはぎの筋肉の力が足の静脈還流に関して大変重要な働きをしています。高齢などの理由で足の筋力が弱ってきたりすると十分な筋肉の力がありませんので、静脈逆流の症状が出やすくなります。

足の静脈還流はじっと立っているとほとんど筋肉を使用しないので、このポンプ作用を使うことができず静脈血が足に溜まり、足がむくんだりするようになるのです。

 じっと立ったままいるより少しでも動いてふくらはぎの筋肉を使う方が足の静脈還流がよくなります。

静脈瘤のかたは適度な運動が大切です。

次に実際にどのように足の静脈血が流れていくかを見てみましょう。

正常の場合

静脈は足先から心臓に向かって血液を運んでいる血管です。立位では血液は重力に逆らって下から上に上がっていきます。上に運ばれた血液が下に向かって逆流しないようにたくさんの逆流防止弁があります。弁が閉じると立ったときに逆流しないようになります。

弁の働きが正常の場合は足の先から上に向かって表在静脈、深部静脈とも静脈血は流れていきます。静脈の拡張もありません。交通枝(図の下方で表在静脈と深部静脈をつないでいる血管)も表面から奥へと正常の向きに流れています。

それでは静脈瘤の場合はどうなるのでしょうか?

静脈瘤の場合

 静脈瘤の多くは表在静脈(皮膚に近いところにある静脈)の中にある弁が壊れた結果、立ったときに逆流が生じて、足の先に向かって血液が下がり静脈の負担が増加し静脈が拡張していきます。

その結果、血管の弱いところが蛇行したりコブ(静脈瘤)になって行きます。

 どうして静脈弁が壊れるかはよく分かっていませんが、長時間の立ち仕事や妊娠出産などで静脈に負担をかけることが原因と考えられたり、親子や兄弟で静脈瘤になる場合がよく見られますので、遺伝的に弁が弱いこともあるようです。

また最近では歯周菌が血液の中にはいって静脈弁の炎症を起こす説もいわれています。

血圧が高いかたより低い方に(特に女性)に起こりやすいようです。これは血管壁の柔らかに関係していると思われます。

 静脈瘤では静脈の弁が壊れて足先(下方)に向かって血液が逆流しています。静脈の拡張も認めます。

静脈瘤になっている場合は、弁が破壊されると静脈血は下方に向かって逆流していきます。正常の場合の図と比べると表在静脈を流れる血流が下向きになっていることがわかります。

この状態が長く続くと、表在静脈の拡張が起こり静脈瘤ができてきます。

伏在型で症状がひどい場合は、○で囲んだ太ももの付け根の一番最初の弁が壊れていることが多くみられます。この場合、確実な治療を行うためには、表在静脈の逆流を出来るだけ高い位置(図の○のところ)まで逆流を止める処置が必要です。

レーザー治療やストリッピング手術などを行うことで逆流は止めることができます。

ではなぜ立ったときに逆流が強くなるのでしょうか?

それには静脈圧と体位に以下のような関係があるからです。

立位と静脈圧の関係

足の静脈圧は体位によって大きく変化します。

静脈圧が最も大きくなるのは、立位のときです。

静脈圧は心臓の高さと足の高さの差で決定されます。心臓の高さを0とすると、この図では立位の場合、足首との間には120cm(背の高さで違います。)となり、静脈圧の差に換算するとおよそ100mmHgの違いとなります。

静脈圧はこれに10mmHgを加えたものとなりますので、立位では足の静脈圧が高くなっていることが理解できると思います。

座ったり横になったりすると、心臓との高低差が減りますので、静脈圧が下がります。静脈瘤のかたは足を心臓から15−20cm程度上げて休むとよいのは静脈の圧がさがるためです。

静脈瘤の症状は

足がだるい重い痛いかゆいむくむこむらがえり(足がつる)

が起こりやすくなります。

特に長時間立ったままでいると、夕方に症状が憎悪することが特徴です。朝にはむくみや痛みが軽減していることが多くみられます。

かゆみも静脈瘤の症状であることが多く、静脈瘤の治療をするとよくなります。

さらに病状が進むと、足の皮膚の色がついたり(色素沈着)、皮膚のただれ(潰瘍)ができることがあります。こうなってからでは、治療に時間がかかりますし、きれいな皮膚に戻ることは難しくなります。

しびれは一般的に静脈瘤の症状ではありません。症状は冬より夏に増悪しやすくなります。

冬には寒さで血管が収縮して静脈逆流が軽くなることが原因と考えられています。

冬場は症状が軽くなっていても、また夏場になると必ず悪くなってくるので、注意が必要です。


下肢静脈瘤とこむら返り

下肢静脈瘤のかたにこむら返りが多いことはよく知られています。平井らの報告によるとおよそ7割のかたに認められたといいます。下肢静脈瘤のこむらがえりは、夜間に多くまた、ふくらはぎに多いのが特徴的です。

伏在型のタイプの静脈瘤で、コブが大きく色素沈着など皮膚症状を伴ったかたに多いのも特徴です。

なぜ下肢静脈瘤のかたに多く見られるかは明らかではありません。

よく激しい運動をしたあとに夜間にこむら返りをおこすことはよく経験することです。

静脈瘤があるかたは、静脈逆流により老廃物のたまった血液が足の筋肉に昼の間にたまっているため、過激に運動したときと同じ状態になりそのため夜につりやすくなるのではないかと推察します。

また、静脈瘤以外にもこむら返りを起こす場合があります。坐骨神経系の障害や動脈硬化の病気、また全身的な病気として、電解質の異常や糖尿病などが挙げられます。

下肢静脈瘤と足のむくみの関係

下肢静脈瘤のかたは長時間の立ち仕事をすると足がむくみやすくなります。

これは、静脈逆流があると足に静脈血がたまり静脈の圧があがるために静脈に向かって血液が帰りにくくなり水分の吸収が行われなくなることが原因と考えられます。

 静脈瘤によるむくみは比較的軽いことが多く、ひどいむくみの場合は静脈血栓やリンパ浮腫といった病気である場合が考えられます。

静脈瘤の浮腫は夕方にひどくなり、朝にはよくなっていることが特徴的です。

また足先からむくみが始まり、膝下に限局的にみられることも特徴的です。

軽症の静脈瘤によるむくみの場合は、弾性ストッキングを着用することで症状が軽快します。

重症の場合は静脈逆流に対して治療が必要な場合があります。むくみが強い場合は治療後に足の大きさが小さくなります。

むくみは心臓病や腎臓病、甲状腺機能低下といった全身的な病気でも生じます。こういった病気などが隠れていないかどうかを見ることも大切です。

また中高年の女性では特発性浮腫という原因がはっきりとしない浮腫の場合もみられます。

静脈瘤の治療時期は?

 治療効果が最も高い時期は、静脈瘤があまり多数出ていない時期です。あまりに多数の静脈瘤がある場合は治療が時間がかかるようになり、また血管が曲がりくねってしまうと治療が困難となってしまう場合があります。

 静脈瘤に限らずどんな病気でも早い時期の治療のほうが治療成績がよくなります。以前は手術しか根本的な治療法がなかったため、治療時期を先に延ばす傾向にありましたが、レーザー治療などが登場しより早い時期に治療を受けられる方が増えています。

これまでの経験から、早期に受けられたかたほど、静脈瘤がきれいに治る確率が高くなります。再発が少ないかどいうかなど早期治療の有用性については今後次第に明らかになっていくことと思います。

静脈瘤を我慢していて皮膚の色が黒くなっているようですと、なるべく早く治療を受けたほうがいいでしょう。特に男性のかたは我慢して皮膚の色が変わったり、潰瘍ができるまで我慢しがちですのでご注意ください。

 症状が夏場に強くなるため、夏場に治療を受けられる方が多いのですが、治療後にストッキングを長期間はいていただくので、冬場のほうが治療後が楽だと思います。

静脈瘤のできやすい人は?


女性:男性に比べ、発生頻度が高くなります。

遺伝:血縁者に静脈瘤のある人におこりやすくなります。  

妊娠:妊娠中に静脈瘤ができる人が多く、特に2番目以後の妊娠でできる場      合が多く見られます       

立ち仕事:長時間立ち仕事を行う人に多く、症状の増悪が認められます。

年齢:年齢が高くなるほど静脈瘤の発生頻度は高くなります。

妊娠と静脈瘤

妊娠がきっかけで静脈瘤となるかたは比較的多く見られます。一般的に妊婦さんの10−15%に静脈瘤が発生しますが、出産後にはそのうちの80−90%は消失していきます。

出産後には静脈瘤の多くが消失していきますので、原則として妊娠中は治療を行わず、出産後数ヶ月様子をみてから治療をおこなっていきます。

陰部静脈瘤というのは大腿最上部の内側皮下や大腿後面に出来ることが多く、生理時に症状が悪化する特徴があります。

足の静脈瘤に合併していることがあり、治療を受ける際に注意が必要です。

治療は硬化療法が行われます。

妊娠と静脈瘤について詳しくは

ここが知りたい!足の静脈瘤に書いています。ご参照ください。

参考: 慢性静脈不全の臨床分類について

 静脈瘤の状態を分類するためにCEAP分類という分類がよく使われています。例えば、大きな静脈瘤がある場合は、C2という様に分類します。

class
0 静脈瘤なし
1 クモの巣状あるいは網目状静脈瘤
2 大きな静脈瘤
3 浮腫あり
4 皮膚病変(脂肪硬化、色素沈着、湿疹)
5 皮膚病変と潰瘍の既往
6 皮膚病変と潰瘍(活動性)

これはCEAP分類といわれるもので、0が最も軽く、6が最も重症です。

   C:Clinical signs

   E:Etiologic classification

   A:Anatomic distribution

   P: Pathophysiologic dysfunction

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